夜光虫
それを聞いた自分は不覚にも泣いてしまった。


今まで誰にも自分がレズビアンだということを話すことが出来なかったから。


本当の自分を、陽菜以外に晒したのは初めてだった。


「今までよく我慢してきたね」


と言って由希は、涙を流す自分を抱きしめてくれた。


初めて本当の自分を認めてもらえた気がして、嬉しくて声を上げて泣いた。


「よしよし、もう大丈夫だからね」


由希はまるで子供をあやすように自分を慰めてくれた。


これが自分にとって初めてのカミングアウトだった。


ブログを通じて知り合った人以外で自分達のことを知るのは由希だけだった。


いずれは親にもカムしたいけど、それは無理だと思う。


やはり父が県議会議員だと自分のことでもスキャンダルになるのではないかと不安になるのだ。
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