俺様王子の初恋
「 とりあえず、服 」
肌に張りついた制服を見て
咄嗟に両腕を胸の前で交差した。
日の当たらないこの校舎は
少し、寒い。
気を抜いたらそのままを
口に出してしまいそうで
少しだけ下唇を噛んだ。
「 寒いんだろ 」
私の心を見透かしたように
彼が呟いた。
「 脱げよ 」
ビクリ、と肩が上がる。
見上げると愉しそうに目を
細めた彼が私を見下ろしていて、
嫌だと首を横に振った。
「 風邪引くって 」
「 風邪の方がマシです! 」
腕を組んだ彼が”早く”と
催促すればするほど嫌な予感しか
しなくて、首をぶんぶん横に
振っていたら溜め息が落ちてきた。