名前の無い物語
「…まるで、夢みたいだったね。」
シャトルに乗りながら
柚歌はそう呟いた
「あんな綺麗な星空も、あんな綺麗な心で溢れた町も…初めて見たわ。」
きっと、世界中探してもどこにもない
あそこはガーディアンと七菜が作り出した…楽園なんだ
「海、絶対華と七菜と間違えそうになったろ?」
「バカ言うなって。んな訳ないだろ。」
いや実際めっちゃ危なかったけど
あのとき…華の言葉が俺に問い掛けてくれなければ
きっと俺…華と七菜を重ねて…
ハァ、と海は溜め息を吐いた
こんなことバレたら、美優に何されるか分からない
「…プッ。」
そんな海の反応を見て
吉野は静かに笑い始める
「ちょ、何笑ってんだよ吉野!!」
「いや笑ってなんか…って止めろよ海!?」
吉野が止める間でもなく
海は吉野の頭を掴んでグシャグシャと手を動かす
「お前が俺をバカにしようなんて100年早いんだよガキ。」
「はぁ?たった2年しか違わねぇじゃん!!」
そのやり取りは、最早本当の兄弟のようで
空と柚歌はその光景に笑っていた
幸せで、楽しかった
ずっと、こうしていたいと切実に願った
チンーーー