亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

……ガトー…何とか、とか…マドレー…何とか、とか……熱心に読み耽って………。


………把握したのか、最後に満足そうに笑う。

そしてそそくさと出て行ってしまう。





…………ここは上司として注意してもよかったのだが……する気も起こらなかったので、好きにさせることにした。



……週に一回は来る様になった。




…………本当に気付いていないのか?、と怪しくなる程、彼女は自分に気付かない。
ルンルンと歌を口ずさみながら入って来る事も。



………そういう自分は自分で、本から目を離し、半ば呆れながら彼女を観察する時間が増えていった。

………近頃の若い娘とはああいうものなのか、と思うが……よくよく考えると、自分と彼女はたったの二つ違いであって………あまり変わらない。





一兵士としての戦闘能力は優秀な方であると、評価されている羊皮紙でしかあまり見たことの無い彼女は………………やはり、ただの女だ。

何故ここに女が、とかふと思うが、それは自分のせいであると思い出す。



………最終兵器と言っても過言ではない彼女は………こうやって見れば見る程…………………………単なる女にしか見えなかった。




そんな奇妙なこの時間は長く。



………ああ、髪を切ったのだな、とか。


………訓練で手を切ったのだな、とか。


………またマドレーヌとやらを作るのか…、と。
















そうだ。






気付けば。




















……気付けば私は。


























………私は。






















(………)

< 1,044 / 1,150 >

この作品をシェア

pagetop