亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
……ガトー…何とか、とか…マドレー…何とか、とか……熱心に読み耽って………。
………把握したのか、最後に満足そうに笑う。
そしてそそくさと出て行ってしまう。
…………ここは上司として注意してもよかったのだが……する気も起こらなかったので、好きにさせることにした。
……週に一回は来る様になった。
…………本当に気付いていないのか?、と怪しくなる程、彼女は自分に気付かない。
ルンルンと歌を口ずさみながら入って来る事も。
………そういう自分は自分で、本から目を離し、半ば呆れながら彼女を観察する時間が増えていった。
………近頃の若い娘とはああいうものなのか、と思うが……よくよく考えると、自分と彼女はたったの二つ違いであって………あまり変わらない。
一兵士としての戦闘能力は優秀な方であると、評価されている羊皮紙でしかあまり見たことの無い彼女は………………やはり、ただの女だ。
何故ここに女が、とかふと思うが、それは自分のせいであると思い出す。
………最終兵器と言っても過言ではない彼女は………こうやって見れば見る程…………………………単なる女にしか見えなかった。
そんな奇妙なこの時間は長く。
………ああ、髪を切ったのだな、とか。
………訓練で手を切ったのだな、とか。
………またマドレーヌとやらを作るのか…、と。
そうだ。
気付けば。
……気付けば私は。
………私は。
(………)