亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
………“闇溶け”とは明らかに違う……闇と言うより黒い炎を纏った腕。
クライブはゆっくりと近寄って来た。
「……………お母様は………ずっと…………何かに苦しんでおられた……………玉座に座るお母様は……………表には出さなかったけれども……酷く………辛そうだった………」
………神々しい母。
………威厳高き母。
………この国の王。
……………悲しげな、王。
………目前まで迫ったクライブの漆黒の手が、ローアンに伸びた。
「……………お母様は……………いつも……………………………………泣いて…おられた…!」
「―――うるさい…」
視界が暗くなると同時に、胸部から腹部にかけて酷い圧迫感と、鋭い痛みが走った。
………あまりの苦しさに、息が詰まった。
………声が出ない。
「…………………戯言は、聞き飽きた……………………」
クライブの右手は、ローアンの胴体に、手首の辺りまで深くめり込んでいた。
電流を浴びているかの様に全身が痺れ、細い身体は弓なりに反った。
「………………あ……………く……………」
「…………苦しいか…?……………この禁術は……簡単に言えば……………命を吸い取る術だ。……………………………取り出した魂は…術者の力となる……古代の儀式だった……」