亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
弓なりに反った体勢で視界に映るのは、真っ白な天井。
装飾が施された美しい天井は、夜だというのに………淡い……純白の光が漂って……。
(……………魔…方陣……?)
うっすらとした………白い魔方陣。
花の様な……レースの様な縁取りの…………美しい魔方陣。
白く輝くそれは、禍々しい気配など微塵も無く…………ただ………………こちらを見下ろす様に…………天井高くに…。
(…………お…母………様…………)
あれは、見たことがある。
…六年前の………あの夜……。
私を抱き締めて………命と引き換えに放った………禁術の………………………。
……白の魔術の…………………………………………魔方陣。
「……………はぁっ………」
ガクン…と、一気に力が抜けた。
………鼓動も弱くなってきた。
―――死ぬ。
死にたくないのに。
まだ…。
…………身体が……力が………意識というものが、離れていく感覚が身体を襲った。
………切り離されようとしている。
残るのは屍という器のみ。
魂は………この男の、糧となるのか。
………嫌。
私はまだ………死ぬわけにはいかない。