亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「………術……?」
『…………裁きの……光……』
『………白の魔術の……全てを消し去る恐ろしくも……神々しい……神の光に御座います…。……………神の力をお借りする強力な魔術故……術者は………命を落とします……』
『…………既に………術はかかっております……………しかし…………姫よ…………………………貴女様は、やらねばならぬ事が……』
「…………どういう事だ……?」
『…………時を…稼いで下さりませ………』
「………時間を…?」
『………この禁術は………我等守人が発動させねばならぬ……複雑な術……………あの男が謁見の間にいることも……条件の一つで御座います……術は一度きり………失敗は断じて許されませぬ……』
『…………あの男は用心深い………。……たとえ気配を隠したとしても………直ぐに…術の発動に気付く事でしょう………』
『――…それを防ぐためには………貴女様があの男の注意を引き…………尚且つ…………時間を稼いで頂かねばなりませぬ…………………危険は…承知の上………』
「…………良い。……………………お母様が命をかけた………最後の術ならば………………いくらでも稼ごう………………よく…分かった。………下がれ………………私がどうなろうと………絶対に………構うな…」
『『『―――御意』』』