亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
………哀れみか…?
…………子供の様に…………何故……。
「…………何故……泣いているのだ………ローアン」
赤い花嫁衣装をギュッと両手で抱え、クライブを見下ろす彼女の瞳は、ただただ………途切れぬ涙を流していた。
唇を噛み締め、嗚咽を漏らさぬ様………耐えているその姿は………まだまだ子供で…………昔と変わらなくて……。
彼女は覚えているだろうか。
自らを、トウェインと名乗った時のことを。
――――そんな目で見るな。
私を、見るな。
私は………貴様の全てをこの手で壊した人間なのだ。
貴様の憎むべき存在なのだ。
そして貴様は………私が憎む人間。
なのに……。
何故、泣くのだ。
「―――……………………総……隊……………………長……」
「―――黙れ…!!」
その弱々しい少女の声を、クライブは俯いたまま撥ね除けた。
ローアンは一瞬、ビクリと肩を震わせた。
「……………………………………誰が………総隊長だと……?……………戯言も…程々に、しろ……………」
………ローアンは恐る恐る、クライブの傍らで膝を突いた。