亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
何処かあどけなさが残る、涙で頬を汚した少女。
何を言いたいのか…分からない、澄み切ったスカイブルーの瞳。
小さな彼女。
視界に映る、少女。
………その、後ろ。
離れた所に。
―――『彼女』が、見えた。
………彼女は、泣いていた。
………初めて見た、彼女の………涙だった。
瞬きをした直後。
…………彼女の姿は、視界には無かった。
―――…カルレット
それは声にはならなかった。
『―――……貴方には……この子を……殺すことは出来ないわ』
『―――だって…貴方は………………優しい人だもの……………』
禁術を使い、城を封印する直前………彼女はそう言った。
意味が分からなかった。
ガキ一人を殺せない人間だとでも言いたいのか…?
私はそんなに生易しくはない。
用が済んだら捨てる。
彼女が残した意味深な言葉。
その意味は、すぐに………分かった。
「………」
―――遠い昔の、約束だ。