亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
………カルレット。
……君は…本当に……優れた策士だ。
君は、私と違って………人が好きだった。
だからこそ…………人を操るのが上手い……。
―――私の、負けだ。
君は、心の美しさも……その性質も…………複雑さも……厄介さも…………知っている。
君は………私が…………………。
私が…………………心を捨てられないことを、知っている。
懐かしいな……。
この……自分の………………涙の暖かさは。
「―――…………トウェイン………」
その声は、震えていた。
彼は、泣いていた。
消えながら、泣いていた。
彼の伸ばした大きな手は、ローアンの首元を越し……。
ローアンの真っ白な、柔らかい頬を………そっと…………撫でた。
慈しむ様に。
………我が子を、愛おしむ様に。
「―――…………殺す筈が………無いではないか………………」