亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「――……あ……………ああ……………ぁ………ぁ………」
跡形も、無い。
何も無い大理石を、何度も何度も、意味も無く………震える手の平で擦り続けた。
真っ白な魔方陣も一瞬で消え…。
最初から……何も無かったかの様に。
寡黙な謁見の間へと、戻っていた。
「……………」
涙で歪んだ視界。
………ふと、目に付いたのは…。
………たった今…主を失った、孤独な剣。
ユリアの紋章が刻まれた………彼のいた証。
『………姫よ……………城の外が………だいぶ……荒々しい様で御座います……』
『…………影が溢れている様で………………………』
『……………お急ぎ下され……。…………………………53世の命に従ってきた我等の役目は……これまで。………………新たな王が玉座につかぬ限り……………我等は動けませぬ…………………………………姫、御武運を…』
しわがれた声が謁見の間に響き渡る。
三人の守人は、小さな蛍火をちらつかせながら、高い天井へと浮かんでいき…。
―――…スウッと、消えてしまった。
「………」
………ローアンは無言で、床に横たわる彼の剣を手に取った。
ズシリと重いその剣は、妙にしっくりとくる………不思議なものだ。
「………!…………………ルア……トゥラ……」
突然背中を軽く押され、振り返れば、フラフラとしながら二匹が佇んでいた。