亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「………終わり…?…………………………………バレン…隊長…」
バレンは光の無い鋭い両眼をジスカに向け………ニイッ、と意地悪く笑った。
『…………今度こそ、お別れだ。……………………………じゃあな、ジスカ…』
彼が剣を鞘に納めた途端、バレンの長身はグラリと歪み、黒い霧状となってその場からあっという間に消え失せた。
「………」
独り残されたジスカは。
……静かに深い息を吐き、槍を握ったままバタリと赤土の上に倒れた。
「―――…っ…………………い…ってぇ……………」
……ジスカは脇腹を押さえ………もうどうでもいいや、とでも言わんばかりに槍をその辺に投げ、仰向けになった。
影は襲ってくる気配は無い。
真っ暗な曇り空をじっと見詰めながら、もう一度深い溜め息を吐く。
「……………………………………………どいつもこいつも………………容赦無ぇよ……」
「消えろ!!馬鹿!!変態!!サド!!腹黒!!……いやぁぁぁ!!笑わないで―!!その偽善者ぶった顔は見るだけで吐きけがする!!」
「……………イブ、口悪過ぎ……」
ナイフの嵐は急に止んだかと思えば、静かに佇んでいたグラッゾは、笑顔を浮かべながら消えていった。
………荒野全体から悲痛な叫びが聞こえてくる。
何が起こっているのかよく分からないが……………危機は脱したらしい。
あのナイフの嵐でだいぶ傷を負った。
未だにギャーギャーうるさいイブも、顔や手足に切り傷があり、切り裂かれた耳たぶをなんとかくっつけようとして………諦めている。