亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
















―――ブンッ…























一瞬、何も聞こえなくなっかと思えば………耳鳴りがした。







ああ、耳までいかれてきたのか…と思いながら顔をしかめ、瞬きをした………直後。











…………音の無い、無の世界が……眼前に広がっていた。






















………?

















目の前に、今にも突っ込んできそうなイヨルゴスは、いる。



しかし………完全に静止していた。









自分とイヨルゴス以外、何も無い。三百六十度見渡しても、背景には竜巻は無く、斑の無い黒一色で………心なしか、寒い、

冬だから当たり前なのだが………そういう、肌に感じる様な寒さではない。




「………」


何が起こったのだろう?

…イヨルゴスが魔術でも発動しているのか。
………しかし…術者までが静止する筈がない。



呆然と辺りを眺め、キーツは剣を下ろした。





まるでここは………深い穴の中。

闇の中。

















『……当たり。闇の中だよ』













―――突如、キーツの頭の中に、少年の声が響いてきた。



驚いて再度見渡すが………誰もいない。

………しかしこの声は…。




『………心配しないでよお兄さん。………今、僕があんたらの意思にちょっと入り込んでるだけだから……。…………ああ、剣は無いけど…なんとか頑張っているみたいだね。………でも、あんたが倒れるのも、時間の問題だよ』

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