亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~





俺は。
















俺の誇りは…。















生きる意味は…。





















―――………オ゛オオオオオオオオアアアア゛アアア―――――………




















全てを揺るがす叫び、咆哮。

怪物の呻き。










目の前に迫り来る、真っ黒な、巨大な口は………キーツの視界を満たしていく。














異臭を放つ生暖かい吐息が、全身を舐めていく。




何重にも並んだ鋭利な歯には、罪無き者達の古い人骨が、魂が、虚しさが……絡み付いている。


















俺の、生きる意味は。
























キーツは、憎悪に満ちた青白い眼球をキッと睨み付けた。







砂埃が、砕かれた小石が、破片が、身体にパシパシと跳んで来る。









―――イヨルゴスの牙が、目と鼻の先にあった。






上の牙が、頭上を越えていく。



下の牙が、足元の地面ごと削っていく。



















横に大きく裂けた口の隙間から、外の景色が消えていく。











消えていく。
















食われる。




















………まだだ。

















まだ。























………視界の隅から、白い閃光が飛来した。










それは真直ぐに、キーツの元へ。
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