亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
スカイブルーの瞳には、恐れも、迷いも、悲しみも…………その一切が無い。
威厳高き人間が、真っ赤な高貴な花が。
日を浴びて佇んでいる。
「―――……………………私の代わりとなる者は…………この国を、民を………………死んでいった…者達を………………………………………………………………………抱えよ」
空気を震わせる、か細い声。
荒野を巡る、厳かな響き。
「……………全てを。…………その覚悟があるならば……………………………王と、なれ。…………………………………私と共に………歩んでくれるならば…………」
ローアンは独りで、荒野の真ん中を歩き始めた。
暁に見送られながら。
………暁と共に。
命を、踏み締めて。
「――――……………………私に………………………………………………ついて来い………!」
赤いドレスの少女は、長い金髪を白と黒の風に靡かせて。
道を切り開く様に、真直ぐ。
ただひたすらに。
真直ぐ。
長い歳月を経て、主を待っていた城へ。
亡國の孤城へ。