亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
―――暑い。
「暑いいい!!」
突然現れた火の壁を前に、ジスカは苛立った。
罠だったか……あんの糞共が!
明る過ぎて、空間探っても闇なんか無えよ!“闇溶け”を封じられた…!
正直な話、“闇溶け”が使えなければ、一気に戦闘能力ががた落ちする。
同レベルになるということだ。
あーつまんね―…。最悪だ。
優利な立場が無くなっちまった。
なんだよ!
国家騎士団様は平等がお好きですか!?
爽やかなフェア精神がお望みかね?
良いぜ、俺そういうの好き。
いくら冬に入る前の肌寒い時期だからと言っても、このご丁寧に用意してくれた暖房は暑過ぎる。
額に浮かぶ玉の様な汗を拭い、ジスカは辺りを見回した。
………半数以上…いや、それ以上の兵士がこの中にいる。
………まずいんじゃねぇの―?…統率乱れまくりだぜ。
中には火に巻き込まれ、火傷を負った者もいた。
………先頭にいる筈の第1、第2部隊はどうしているのか…。ベルトークとゴーガンはとにかくどうにかしてここから抜け出すだろう。
………第4部隊……。
………トウェインは?
あいつはどうした…!?
立ち尽くす部下達を掻き分け、ジスカはトウェインの姿を探した。
…彼女も、部下の方も見当たらない。