亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
………この囲いの外か…?
先程、トゥラと擦れ違った。
……頭の良い腹心なことだ。これを察していち早く主人を助けたのか。
「―――……てことは……第4部隊は援護無し………か…」
彼女なら、トウェインならこの状況でも任務を遂行するだろう。人一倍責任感のある女だ。
(………“闇溶け”を使えるのはお前らだけだ……しっかりやれよ…)
敵の策は、これで終わりな筈が無い。
すぐに、次の手が下されるだろう。
ジスカは槍を肩に背負った。
いつもは“闇溶け”で武器を出したり収めたりする。しかし、今は使えない。
武器を持って動くのなんて、久しぶりだ。
「………いよーし!とりあえず落ち着け野郎共!」
燃え盛る炎を背に、ジスカは指揮をとった。
第3部隊隊員の視線は一斉にジスカに集中する。
ふん。良い面してるじゃねぇか。
ジスカはにやりと笑った。
「俺らの仕事は第4部隊の援護!その第4部隊さんに先に行かれたんじゃ話にならねぇ。………何がなんでもここから出るぜ―!皮膚一枚ただれるくらい我慢しろ!」