亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

「囲いの回り一帯に兵を配置。三重の陣で取り囲め。いつ敵が中から出て来てもいいように。………出て来た奴から首を落とせ」


空腹で苛立っているワイオーンを三十程放ち、更に追い討ちをかける様に兵士をおよそ二百配置させた。

………敵の殆どを、あの囲いから出さない気でいた。

業火で焼け死ぬか、出て来た所で斬られるか、若しくは犬の餌になるか。

どちらを選ぶだろう?

………少なくとも、多少の悪足掻きはしてくるに違いないが。

「リスト……囲いの内と外の状況はどうだ…?」

夜気に、大量の火の粉が舞い散る。
リストは目を一度閉じ、再度見開いた。

その途端、彼の眼球の黒い瞳が、白く霞んだ。

「………苦戦している様です。こちらの出方を伺っているのか、前の方は動こうとしません…」

城から荒野まで、かなりの距離と高さがある。おまけに視界も暗い中、リストは容易く敵の姿を捉えた。リストの白い瞳は、内側で小刻みに震える。

「外にも数十人いますが………ワイオーンに囲まれています。あの辺りは大丈夫でしょう………がっ…!」

キーツの方に振り返ろうとした時、重い大柄な手がリストの頭を押さえた。
オーウェンはじたばたするリストを押さえ付けたまま、目を細めて戦場を眺める。

「………お前、あんな点みたいな集団がよく見えるな―……何にも見えねぇ。望遠鏡要らずだな、うちは」

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