亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「………どけ!!この馬鹿!」

「……おおっと…すまねぇ。あんまし押さえると背が縮むよなぁ~」

「縮まない!!」

リストはオーウェンの手を思い切り払い除けた。

「痛えっ!爪出すな爪を!」

引っ掻き傷を擦り、リストから離れた。

「………ほんじゃあまあ……俺はあの囲いに行くぜ」

オーウェンは壁に立て掛けていた槍を手に取った。
先端には尖った鋭い刃、それの回りに斧の様な弧を描く刃が付いている。

「…行くのか?」

キーツは傍らの剣を取ろうとしたが、それをオーウェンは制止した。

「俺だけでいい。大黒柱ってのは黙って君臨しとくもんだ。……リストも残れよ。お前はキーツを守れ」

よっと…と、オーウェンは城壁から飛び下りた。

十メートル以上の高さから軽やかに着地し、槍をぶんぶん振り回しながら丘を下って行く。







………あの炎の中には、強敵がいる。
こんなんでくたばっちまう様な連中じゃないからな。







―――……悪いな、キーツ………俺一人で対峙させてくれ。







奴等に対するお前の憎悪は分かるがよ。

























―――俺だって、心底憎いんだ。


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