亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
火の粉を被り、煮えたぎる灼熱の空気を切って駆け抜けていく。
途中、何人かワイオーンに囲まれていた。
至る所で、使い手の無くなった剣が散乱し、犬の餌食となった原形を止めていない死骸があった。
………食われていく仲間達。
………こうして目にしているのに………助けられないのか。
―――何がなんでも、任務を遂行させる。
前方に、敵兵の集団が陣を組んだまま火の囲いを取り囲んでいた。
トゥラは何の躊躇いも無く走り続けた。
端にいた兵士が、こちらに突進して来る真っ黒な獣に気付いた。
兵士は叫んだ。
「―――敵兵のものと思われる獣がこちらに進行中!………魔獣ライマンだ!」
「………後ろのは分身だろう。惑わされるな!相手は一匹だけだ!一発で仕留めろ!」
鞘から抜き出されたぎらりと光る刃を前に、トゥラはただひたすら走る。
「……無鉄砲な馬鹿犬め………このっ…!」
敵兵士は向かって来たトゥラに、剣を横薙ぎに払った。
真横に一刀両断。
………となっている筈の、獣の姿は無い。
「―――!?」
頭上に小さな風が吹いた。
トゥラは直前で地を蹴り、空高く跳んでいた。
三メートル程の高さを飛来し、軽い身のこなしで不意を突かれた兵士達を踏み台に進んでいく。
途中、何人かワイオーンに囲まれていた。
至る所で、使い手の無くなった剣が散乱し、犬の餌食となった原形を止めていない死骸があった。
………食われていく仲間達。
………こうして目にしているのに………助けられないのか。
―――何がなんでも、任務を遂行させる。
前方に、敵兵の集団が陣を組んだまま火の囲いを取り囲んでいた。
トゥラは何の躊躇いも無く走り続けた。
端にいた兵士が、こちらに突進して来る真っ黒な獣に気付いた。
兵士は叫んだ。
「―――敵兵のものと思われる獣がこちらに進行中!………魔獣ライマンだ!」
「………後ろのは分身だろう。惑わされるな!相手は一匹だけだ!一発で仕留めろ!」
鞘から抜き出されたぎらりと光る刃を前に、トゥラはただひたすら走る。
「……無鉄砲な馬鹿犬め………このっ…!」
敵兵士は向かって来たトゥラに、剣を横薙ぎに払った。
真横に一刀両断。
………となっている筈の、獣の姿は無い。
「―――!?」
頭上に小さな風が吹いた。
トゥラは直前で地を蹴り、空高く跳んでいた。
三メートル程の高さを飛来し、軽い身のこなしで不意を突かれた兵士達を踏み台に進んでいく。