亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
―――暖かい。
―――ああ…これは………夢に違いない。
………この夢をみた日はどうも落ち着かないから………見たくなかったんだが…。
腕の中には………綺麗としか言い様が無いのがいる。
―――柔らかい、真っ白な肌。
―――華奢な身体。
―――甘い香り。
―――小振りな胸。
―――少しだけ開いた赤い唇。
―――……。
………欲望だ。
………いやらしい情欲。
夢と分かっていても………堪らないんだ。
―――なあ……そんなに泣くなよ…。
―――泣かれると……抱こうにも抱けねえだろ………。
………嫌か?
………なあ………お願いだから………泣かないでくれ。
……泣くな………。
………俺は………お前が……。