亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
しばしの沈黙が過ぎった。
キーツは傍らのルアを撫でているだけで、閉口している。
アレクセイは深い息を吐いた。
「………何かお悩みですかな…キーツ坊ちゃま」
「……ハハ…その呼び方は止めてくれ………もう俺は今年で18だぞ………」
懐かしい、貴族であった頃の呼ばれ方だ。
世話係りだったアレクセイを何度困らせ、何度こけさせたか。
とにかくやんちゃなガキだった。
「たとえ成人なされても、私にとってキーツ様は坊ちゃんですよ。………何も、変わっておりません」
「……そうか?………ということは……俺は成長してないという事か。…………………否定しないんだな…」
アレクセイは素知らぬ顔で眼鏡のレンズを拭いていた。
…歳をとって、この男はなんだか以前より意地悪くなった様だ。
キーツは苦笑しながら、開け放たれている窓に視線を移した。
外には、丘の上の光る城。
………本日何度目だ?またあの二人に物言いに耽ってるだの何だのと愚痴を言われてしまう。
しかし…見ずにはいられないのだ。
………俺の復讐は、そうやって維持出来ている様なものだから。