亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「なあ…アレクセイ……あの日から……何年になるんだったか?」




「………あと二ヵ月で……六年に御座います」



「………お前が俺を抱えて逃げてから……そんな経つか…」



まだ六年。
……しかしこの歳月…なんて長いのだろう。





「………もう……六年か………」















―――春。



冬がすぎた後は、野山に一斉に緑が広がる。
ここフェンネル国の象徴である色が深い緑色である様に、それは見事な程青々と茂るのだった。



他の二つの大国と比べ、この国はなんて平和なのだろう。





「……同じ風景ばかりが続いてつまらない………冬も冬で雪ばかりだけど……春も春だな」

七つのキーツはこの日、父と世話係りのアレクセイ、家来数人と共に何処かへ向かっていた。

場所は聞かされていない。
家来達とは異なる車に乗せられ、凸凹道をがたがた揺れながら走っていた。

開いた窓から車の前を見ると、車を引いて走る、草食動物の『ビーレム』が見えた。

大昔はいた、馬という動物の生態系が枝分かれした末裔の一種だそうだが……そもそも馬というのがどんな姿なのか知らない。

……あんな風に全身緑なのだろうか。
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