亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「とんでも御座いません。……申し訳ありません、父上」

真っ直ぐ目を見て、キーツは偉大な父に詫びた。

その隣りで、アレクセイは無言で折れ曲がった本の頁を直していた。



「………今日は何処へ行かれるのですか?………随分と遠出ですが」

ずっと気になっていたのだが、訊けば咳払い一つで終わりそうだったため、黙っていた。
………しかし時間が経つうちに、外の景色がだいぶ変わっていく。谷を過ぎ、大きな街を過ぎ、更に奥へ……。
………こんな遠くに来たのは初めてだ。そこでキーツは思わず訊いてしまったのだ。


父は案の定、眉をひそめた。






少しの沈黙の後、父はぽつりと呟いた。









「………城だ。国王に謁見するのだ」









―――国王?………フェンネル王53世に?







もっと小さい頃から、まるで神の様に崇められ、素晴らしいと教えられてきた、王のいる城。







その城に行ける、入れるのか、という子供らしい好奇心………………よりもまず、何で自分も?…という疑問が生じた。


侯爵である重鎮の父の奉公先に、何故子供を連れて行くのか。






(………城………ねぇ…)





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