亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「そう……キーツ、今年でいくつになりましたか?」

やんわりとした優しい口調だが、緊張は解けない。

「……七になりました…」

声が裏返ったか?……父よ…そんな明後日の方向など見ないで下さい。


女王はキーツをじっくり眺めて、今度は父の方に顔を向けた。

「……良い子をお持ちですわ、ゲイン侯爵。……キーツ、お父様とお話がありますから、別室におりなさいな。………お下がりなさい」

女王はにこにこしながら、杖の先を床に付いた。

すると、家臣数名がキーツの手を取って謁見の間から出る様に促してきた。


後ろの方にいたアレクセイも続いて一緒に出た。



アレクセイと二人、廊下に出ると、何とも言えない疲労感がどっと襲って来た。


……足がふらふらする。


「………キーツ坊ちゃまは意外と小心者なのですな……」

しげしげと見つめてくるアレクセイ。
ちょっとむっとして、キーツは姿勢を正した。

「………小心者で悪かったな…」

「…いえいえ、とんでも御座いません。…親子揃ってよく似ておられます」








……軽く馬鹿にされた気がした。









アレクセイには…勝てない。

< 274 / 1,150 >

この作品をシェア

pagetop