亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
笑顔だが明らかに半分げんなりしているアレクセイに捕まり、城内に補導された。
アレクセイがぶつぶつと小言を漏らしている間、始終、キーツはぼーっとしていた。
………また会えるだろうか…。
そんな事ばかり考えていた。
「―――あら、見掛けない青少年ね?………どうしたのリネット?そんな難しい顔をして…綺麗な御顔が台無しよ」
「台無し?…ならば本望ですわ姉様。これで男一匹寄り付かないならば、私は嬉しくて仕方無いです。………ふん、七つという所かしら?……顔は良いけれど肝っ玉の方はどうだか…」
城内の最上階の廊下。
手摺に寄り掛かり、二人の少女が、初老の男に連行されて入って来た少年をしげしげと見下ろしていた。
何処かのんびりとした人柄の、長女エルシア。まだ11だ。
刺々しい言葉しか吐かない気の強すぎる少女は、次女リネット。こちらもまだ幼く、8歳だ。
フェンネル国の三人の姫君の内二人が、早速品定めをしていた。