亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
話が終わったらしい父が戻り、早々に帰路につくこととなった。
………もう少し居たかった。………次はいつ来れるだろうか?
名残惜しそうに、キーツは時々振り返りながらアレクセイに連れられて城から出た。
………ここからでは、あの白い花畑のある辺りは見えない。
第三貴族の地位に当たるキーツの屋敷は、谷沿いにある中の、一番大きな街の外れにある。
旅人や商人、貴族から農民まで幅広い身分の人間が集結している巨大都市。フェンネル国の、城に次ぐ首都的存在だ。
街を歩けばごろつき、紳士的な貴族、神父、学者を目指す学生などが混み合う。