亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
首都である町から遥か西。
国境沿いの火山地帯の麓に、小さな農村地帯が密集していた。
広大な草原が広がり、家畜の群れが日に何度も行き交う。
この地域の草花は、皆火山地帯近くにしか生えないものばかり。
甘い、濃い匂いの花が咲き乱れる。
これをドライフラワーにすると、なかなか高く売れるため、この辺りの農村の女子供は花摘みという仕事が課せられていた。
一番摘むのに適した時間は夜明け頃。
その時間に摘んだ花は異様に香りが濃く、長持ちする。
ただ、この辺りは何の前触れもなく雨がよく降る。
雨が降っては匂いが消える。
女達はしっかりと天候を見定めてから摘みに行かなければならない。
でないと、男達が怒るのだ。
男尊女卑の意識は、都市よりも田舎の方が根強い。
女は家事をして、働いて、主人の世話をするもの。
それだけだ。
威張り散らした男達の面倒を黙ってこなす。
何故女に生まれて来たのだろう?
生きる楽しみが無い。そう思うほど、女にとっては酷でしかない環境だった。