亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
今朝は妹が朝の支度をする筈だった。几帳面なあの娘が、弟の朝食の用意が出来ていないなんて……。
嫌な予感がした。マリアはさっと青ざめる。
「……カザレ………ミラはどうしたの?朝からいた筈よ……」
苛立つカザレは安っぽい煙管をマリアに投げ付けてきた。
「……知らないね!あんな奴!また何処かでさぼってるんじゃないのか!」
それより早く着替えと食事を持って来い、と喚き散らすカザレを置いて、マリアは家の端にあるキッチンへと向かった。
………さっき摘んできた花の香りが染み付いて気がつかなかったが………家中の空気がなんだか焦げ臭かった。
キッチンへと続く狭く短い廊下は黒い煙がうっすらと漂っている。
小汚ない鍋や皿が並んだ古いキッチンのドアを開け放つと、そこに立っている筈のミラの姿は無い。
………野菜の皮とナイフが散乱した床に、小柄で華奢な娘が倒れていた。
マリアは慌てて駆け寄った。
「―――ミラ!」
生まれつき身体が弱く、心臓に病を抱えている一つ下の妹。
暑くもないのにミラはぐっしょりと汗をかき、呼吸もおかしかった。
マリアは手慣れた様子でミラの身体を起こし、女三人で使っている部屋へ連れて行った。
嫌な予感がした。マリアはさっと青ざめる。
「……カザレ………ミラはどうしたの?朝からいた筈よ……」
苛立つカザレは安っぽい煙管をマリアに投げ付けてきた。
「……知らないね!あんな奴!また何処かでさぼってるんじゃないのか!」
それより早く着替えと食事を持って来い、と喚き散らすカザレを置いて、マリアは家の端にあるキッチンへと向かった。
………さっき摘んできた花の香りが染み付いて気がつかなかったが………家中の空気がなんだか焦げ臭かった。
キッチンへと続く狭く短い廊下は黒い煙がうっすらと漂っている。
小汚ない鍋や皿が並んだ古いキッチンのドアを開け放つと、そこに立っている筈のミラの姿は無い。
………野菜の皮とナイフが散乱した床に、小柄で華奢な娘が倒れていた。
マリアは慌てて駆け寄った。
「―――ミラ!」
生まれつき身体が弱く、心臓に病を抱えている一つ下の妹。
暑くもないのにミラはぐっしょりと汗をかき、呼吸もおかしかった。
マリアは手慣れた様子でミラの身体を起こし、女三人で使っている部屋へ連れて行った。