亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
それから一週間後。腫れも引いてきた。
鞭の傷跡はまだ生々しく残っていたが、黙ってその上に服を着た。
やっとまともに歩ける様になり、今朝も花摘みに精を出していた。
「そういえば、今夜は満月よ。満月の夜から夜明けの間に咲いている花は香りも良いし、形も良いわね。………夜中に行こうかしら」
満月の日の翌日の夜明けは、花摘みに行く女子供が特に多い。
質の良い花を摘もうと我先に行くため、完全に明るくなってから行ってもほとんど残っていない。
そのため、夜中から行こうと考える人間が多い。
しかし、今は昔と違って、“影”と呼ばれる奇妙な化け物が出没する様になった。夜更けに人一人、しかも女子供が出歩くなど危険すぎるため、断念せざるえないのだった。
危機感など、全体的に感覚の鈍いマリアは、ちょくちょく一人でこっそりと出歩いていた。
今夜も行くつもりだった。
家族にばれない様に、皆が寝静まった頃を見計らって抜け出す。
立て付けの悪いドアをそっと閉め、マリアは籠を手に夜道を歩いた。
冷たい夜気が長い髪を撫でる。もうすぐ冬が来るのだ。長い春は一時の休息をとろうとしていた。
秘密の場所があった。
鞭の傷跡はまだ生々しく残っていたが、黙ってその上に服を着た。
やっとまともに歩ける様になり、今朝も花摘みに精を出していた。
「そういえば、今夜は満月よ。満月の夜から夜明けの間に咲いている花は香りも良いし、形も良いわね。………夜中に行こうかしら」
満月の日の翌日の夜明けは、花摘みに行く女子供が特に多い。
質の良い花を摘もうと我先に行くため、完全に明るくなってから行ってもほとんど残っていない。
そのため、夜中から行こうと考える人間が多い。
しかし、今は昔と違って、“影”と呼ばれる奇妙な化け物が出没する様になった。夜更けに人一人、しかも女子供が出歩くなど危険すぎるため、断念せざるえないのだった。
危機感など、全体的に感覚の鈍いマリアは、ちょくちょく一人でこっそりと出歩いていた。
今夜も行くつもりだった。
家族にばれない様に、皆が寝静まった頃を見計らって抜け出す。
立て付けの悪いドアをそっと閉め、マリアは籠を手に夜道を歩いた。
冷たい夜気が長い髪を撫でる。もうすぐ冬が来るのだ。長い春は一時の休息をとろうとしていた。
秘密の場所があった。