亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
同僚と部下の低レベルな口喧嘩を完全無視し、トウェインは一人で、倒した影の残骸を摘んで見当していた。

(………数体で融合した影は初めて見た………今まではそんな事は無かったのだが……)

影は普通、単体か集団で行動する。………それだけだ。融合してより巨大になるなど今まで例が無かった。

………普通が、普通では無くなってきている。

(―――……知恵を付けたか…?)

………。

独りじっと考えていると、第3部隊の兵士の一人が駆け寄って来た。気がついたトウェインは、まだイブとくだらない口論をしているジスカのベルトを強引に引っ張った。

兵士は二人に敬礼をし、はきはきとした物言いで報告をしてきた。

「報告します。現在、塔周辺に影の姿無し。ライマンも無反応なことから、何処かに潜んでいる可能性は低いと思われます」

「………神出鬼没な者どもだ。……被害状況は?」

「はっ。この北側で第3部隊の兵士一名のみです」

「………あの者か」

ちらりとトウェインは影の残骸に視線を移す。
その中に、人間の形をしたものが埋もれていた。
血の気の無い、ありえない方向に曲がった腕が空に向かって伸びている。
たかる虫が、肌色の部分を消していく。

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