亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
―――。
―――…。
―――…あれ?
―――生きてる。
―――…なんだか暖かい。
私は………死にかけていた気がする。
………頭が痛い。
ここはどこ?
「―――起きたかね………」
「………」
「………少し錯乱しているようだな…無理も無い………あの村で生き残っていたのはお前だけだ」
「………」
「もう少し、寝ていなさい。………戦火の中で、だいぶ体力を消耗している筈だ」
「………せんか…?」
「―――ああ…そうだよ。………私が、火をつけたのだよ……戦争にな。………お前、名前は?………覚えているか?」
「………………トウェイン」
「………そうか……トウェインか………」
「………父さんと母さんは?」
「………トウェイン………死んだのだよ。皆………皆、死んでしまった」
「………」
「―――………死んだのね」
―――随分と………懐かしい記憶だ。
―――総隊長に拾われた時の……おかしな会話。