亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
真っ直ぐな視線が、すぐ傍らからひしひしと伝わって来た。
しかしトウェインはそれに答える事なく、無言で進んだ。
「―――…………トウェイン…!」
………困惑したジスカの声が、背中に投げ掛けられた。
………歩みを止めず、目尻に溜まった涙を拭う。
トウェインは振り返ろうともしなかった。
………嘘だろ…。
ジスカは呆然と、小さくなっていく彼女の背中を見詰めていた。
室内での会話はほとんど聞こえていた。
…………………。
…………トウェインが………。
……………あいつが…。
………あいつが…………………………王族……?
………………第三の姫君………ローアン……………ローアン=ヴァルネーゼ………………………?
………………そんな…………。
………………そんなの…………。
暗い廊下の向こう。
細い小さな背中は………闇に消えて行った。
―――………悲し過ぎる。