亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
………許される事の無い罪。
訳も無く憎悪を蓄え、異なる方へ矛先を向けてきた。
―――………何をしていたのだろう。
夜更けになっても雨は止まなかった。
小降りの雨が塔の壁や屋根を打つ。静かな塔内に、その音はずっと響き渡っていた。
静かだった。
人気の無い冷たい廊下に、音も無く、真っ黒な黒煙が宙に浮かび上がった。
濃い闇の塊は大きくなり、すぐに細かい粒子となって分散した。
その後の長い廊下の奥に、一つの細いシルエットが現れた。
「………」
とある一室の扉の前で、トウェインは立っていた。
軽く深呼吸をし、扉に向かって手を伸ばした。
薄汚れた古い扉に、トウェインの握り拳が小気味好く叩かれた。
小さなノック音はすぐに雨音にかき消された。
「―――私だ。……………ジスカ」
………ガチャ……と、内側から鍵を開ける音が聞こえた。
正面の扉がゆっくりと、口を開いていく。
中から、黄金色に輝くランプの明かりが廊下に漏れた。
無表情のジスカが、目の前に佇んでいた。