亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
中に入り、向き合って座ってから約五分。
お互い沈黙を守っていた。
いつものソファに腰掛けていたトウェインは、ちらりと向かいのジスカを盗み見た。
ジスカはジスカで、今は上着を脱いで襟のボタンを外した緩い格好。
解けかけた長い髪は無造作で、後頭部をがしがしと掻いているが…………………表情は無い。
ぼーっとしている様な顔。
………これは不貞腐れた後や、何か気に食わない時、つまり機嫌の悪い時に見せる彼の様子だ。
……一応は一つ上なのに……年下に見える。
「………機嫌……悪そうだな」
守られていた静寂を、まずトウェインが打ち破った。
ここで初めて、ジスカは目を合わせてきた。一瞬視線が重なるが、それはすぐに流れて行く。
「………聞いていたんだろう?…………さっきの…私と総隊長の会話………」
「―――」
「………驚かせてすまないな……………まあそれは私も同じなんだが。………………ジスカ?」
「―――」
「………………ジスカ―。……………ジ―ス―カ―?」
「………」
「………………ジスカ―…?………………………………………お前…………吐き気でもするのか?」
「……なんでそうなるんだよ!?」