亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

………未だその生態が解明されていない、呪いの化け物。


………それらに食い潰された村や街は数知れない。


「………どうしたら良いんだ………」

いずれは……人も襲われる。家畜を喰い荒らし、口にするものが無くなれば、その食欲は今度は人間に向く。
………いつまで……あんな化け物に怯えていればいいのだ?



「これも全部………王族のせいだ………その配下の連中も、革命派だとほざいている奴等も………やってる事は全部人殺しだ…!………影を生産してるのと同じだ………」


村人の中には、どちらの勢力にも反抗意識を持つ者も少なくなかった。



無残な家畜の亡骸を拾い集める村人達。
眉をひそめる大人や子供に混じり、ダリルも乾ききった骨の破片や、蛆のわいた肉片を無表情で拾い集めていた。

骨も肉片も細かくして灰にしなければ、新たな影が生まれてしまう。


「………おいダリル。……皆影のせいだとか言ってるけどよ…お前がやったんじゃないのか―?」


黙々と手を動かしている最中、後ろからとんでもない事を言われた。

ダリルは怪訝な表情で振り替える。

顔は分からないが、誰だかはすぐ分かる。

ダリルを苛める村の子供達の一人。一番質の悪い苛めっ子だ。
< 677 / 1,150 >

この作品をシェア

pagetop