亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「………何を言って……」

「そうだそうだ。ダリルならやり兼ねないな?……お前に近付くと呪われるもんな」

「…家畜を喰ったのか―?うわっ、やっぱり化け物だぜこいつ。人の皮を被った怪物だ!」

徐々に集まり、煽りたてる苛めっ子達。



いつもならこんな低レベルな会話に加わらず、極力無視するのだが。

今回は冗談では済まない。誰が好きでこんな残忍な真似をしようか。
どうもこの村の住民は、ダリルをどうにかして遠ざけたいらしい。あらゆる口実で村から追放しようと企んでいる。

「………ふざけるな…!……僕は…」

「……お?…見ろよ、ダリルがムキになったぜ―」

「ここから出てけよ。そうすればこの村も平和になるさ!」

「お前を生んだ母親だって化け物さ!化け物の家族はフェーラの巣にでも行きな」



ダリルは両拳を握り締めた。



………自分のことはいくら侮辱しようとも構わない。化け物でも何とでも言えば良い。




…………しかし………。



























「………………母さんは………化け物なんかじゃない!………………そんなのは…………僕だけで充分だ!!」

震える声でダリルは言った。

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