亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
………皆、避ける様になった。
特に同年代の子供なんかは、僕に会わない様にわざわざ遠回りをしてでも避けて行く。
苛めも無くなった。
以前より静かになってしまった周りの空気は、居心地が良いとは思えない。
話しかけてくれるのは母だけ。
………ある意味、それはとても嬉しかった。
村長が度々僕をちらちらと見ながら、数人で何やら話していた。
………耳を澄ませば大体の会話は聞き取れるのだが………どうせ内容は同じ。
もはや探ることも面倒だった。
目を合わせようともしなくなった祖母。
終わりの無い無言が続く中、ダリルは躾られた通り家事をこなす。
『―――気味が悪い』
『――あの子…本当に何なの?……フェーラとかじゃないの?ほら、ごく稀にそういう寄生児が生まれるって………ハーフとか…』
『……あの子の親はフェーラに噛まれた事なんて無いよ……フェーラどころじゃないさ……あの惨状は……見ただろ?』
『………酷かったな………人間のすることじゃないよ』
『………化け物よ……』
『……得体の知れない子』
『………人じゃないんじゃないの?』