亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


村の人間とは明らかに違う、見慣れない連中が村長の家を出入りしていた。

こんな山奥の田舎にはそぐわない服装。
都会の人間であると一目でわかった。
…………道行く人達を睨み付ける柄の悪い連中。








そんな奴等が、ある日の夕方。


開けた扉の向こうに立っていた。









ダリルは怪訝な表情で目の前の男を見上げた。
額から顎にかけて大きな傷のある男。
擦り傷だらけでカサカサの大きな手が、少年の華奢な腕を捉えた。

「………!?」





突然の事だった。

抵抗する暇さえ無く、ダリルは強引に外に出された。

外を歩いていた村人はこの様子に騒然とした。



「………っ……止めて!」

「ダリル=メイだな?………………一緒に来てもらおうか……」

頭上で囁かれる低い声。
男はダリルを半ば引きずって、何処かへ連れて行く。



「…………ダリル…!?」




家の中から母が現れた。ダリルが男に連れて行かれるのを見るや否や、真っ青になった。


「………お母さん!……お母さん!」


何処に潜んでいたのか、いきなり村人数人に囲まれる母。
行かせまいとしているようだった。


「…………ダリル…!」

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