亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
チリッ…と小さな痛みが走った。……胸が熱い。
肺が圧迫される。
吐き気がする。
激しい発汗。
骨が軋む様な音。
震える臓器。
ブクブクと煮えたぎる血液。
内からの………圧迫感。
………圧迫…………。
―――………パァンッ………。
小気味好い破裂音。
………兵士の代わりに、ダリルの血塗れの小さな手の平だけが、そこに静止していた。
………赤い蒸気が舞い散る。
細かい肉片や骨の欠片は、行き場を失って大樹の肌や草木の腕に飛び散った。
………兵士の灰色の軍服だけが、包むものを無くして、パサリ…と力無く地に落ちた。
握られていた剣は破裂の勢いで飛ばされ、高い木々の幹に突き刺さっていた。
………赤く染まった小さな手。もうすっかり、その色も臭いも、染み付いてしまっていた。
………何人…殺してきただろうか。
この禍々しい、人殺ししか出来ない能力を積極的に使い始めてから……………早くも…2年経つ。
………いつの間にか、ダリルは10歳になっていた。