亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「………今回も…嗅ぎ付けたのはアレスの使者だったよ。………情報漏れしてるわけじゃ無いんだよね?…………連中…近頃偵察を増やしているよ」
すっかり慣れた、この暗い地下室。天井から垂れ落ちる水や、壁を伝って走るドブ鼠、じめじめした空気に、煙草の煙が充満して靄のかかった様な空間も………ダリルは気にしなくなった。それが当たり前の景色となっていた。
ダリルの正面でタバコを吹かしながら考え込むゼリアス。リーダーである彼にこうやって堂々と話しかけられるのは、補佐のバトラーとダリルくらいだ。
「………どうも…な。………バリアンの奴等がこの辺りで頻繁に違法な事をしているらしくてな。………国家騎士団もそれで動いてやがる。つまり、俺達は密猟容疑で一緒に狙われてんだよ。…………阿呆らしいこった」
「………そういう方向で疑われていた方がこちらとしては好都合だ。密猟者共をおとりにする事も出来る」
根っから真面目なバトラーは、煙草を吸いながらのゼリアスをさっきから睨んでいる。
「………僕らの存在はどれ位知られてるのさ?…反国家組織ではなかなか大きい方なんでしょ?」
内にいるせいか、この組織の全容をあまり知らない。
…大きい…とは聞いているが。