亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
…何をしているのかは分からない。
単なる偵察の様にも見える。

その兵士達はほんの2、3人。一人の時も多々ある。

辺りを睨み付ける様に見回しながらも、特にこれといった行動は何一つ起こさない。





「………廃墟内にいる奴は、地面の下の地下空洞ばかり見てやがる…」

「地下空洞………首都全域に水を回しているパイプラインがあるな。…………」

首都の地下は、中央にある『神声塔』を中心に、蜘蛛の巣状にパイプラインが敷かれている。
田舎の農村とは違って井戸から汲む必要は無い。水の供給源になっている。


「…………断水」

ダリルは呟いた。………ゼリアスとバトラーは一瞬で険しい表情を見せた。


「………断水……か。………」

「………そりゃあ………まずいな…」


―――首都の水が涸れる。



そんな事をすれば、誰一人住めなくなる。
人間だけの問題ではない。この辺りの環境もガラリと変わるだろう。

………しかし、自分達の様な反国家組織を一掃するには最適だ。

いくつもの村を占領し、歯向かう者あらば迅速に、容赦無く消してきた連中だ。

………首都という中心の街を消すことに、彼らは一瞬の躊躇さえ無いに違いない。


それはまるで…全てを飲み込む闇の如く。
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