亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
その日廃墟にいるのは一人だけであった。

同じ人間が連日出入りしている様だった。







ほぼ毎日着ているやや湿った服。二年前に貰った時はダブダブの服だったが、今ではもう小さい。
刃物で切れたり地面に転がり込んだりと大いに動き回ってきたため、所々破れている。


………まだ冷たい春風が役に立たない服を通り越し、肌を直接撫でて行く。

………淡い朝日が、崩れた首都の差し込む。ぼんやりとした廃墟のシルエットの中を、ダリルは音も無く歩いた。


そっとフードを被り、朝日を避けながら進んで行く。






―――邪魔なものは消しておかなければ。







………今まで通り。


……………削除する。






………不毛かもしれない。


どんなに消しても、また新しく補われるだけなのかもしれない。不毛な行い。不毛な日々。

…だけれども、止めようとしない自分がいるんだ。












(―――……死体は街の郊外に捨てて……どうにかして密猟者達の仕業と思われる様に仕向けないと…)


こちらが動けなくなる前に………殺さないと。




殺さないと。









殺さないと。












早く、殺さないと。
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