亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「……全部御見通しだ。…………『理(ことわり)の者』…なんだろ?」
………『理の者』?
………………訳が分からない……!
「………少しは……黙ったらどうだ…!」
苛立ちを露わにし、ダリルは叫んだ。
グラリ、と男の背後の闇が歪んだ。
同時に、生き物の様に闇が動き始める。
音も無く、闇が男の回りをぐるりと囲んだ。
「………面白い力だ」
余裕を感じさせる声が聞こえたかと思うと、男を囲んでいた真っ黒な闇は、霧が晴れる様にさぁっと消えてしまった。
……そこにあった筈の男の姿は無い。
(……!?…………何処に……)
前にも感じた感触。
―――喉元に、異常に冷たい剣の刀身があてられていた。
更にもう一本の鋭い剣先が、ダリルの頬を撫でていた。
………“闇溶け”?…………この空間で?
「…………どうだ?有利な条件下で後ろを取られるってのは。………スリルあるだろ?」
すぐ真後ろから、笑みを含んだ男の低い声が嫌でも聞こえる。
………気持ちの悪い汗が流れた。
「……小さいのに不憫だなぁ…………だが………お前は何つーか………………………嫌いだ」
背中に重い膝蹴りが入った。