亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
前のめりに倒れ、両手両膝をついた。

相変わらず首筋には冷たい剣の感触が付きまとう。


(…………っ…)


それまでずっと維持していた集中力が、ここで一気に途切れた。


―――途端、周囲の闇が再び大きく歪み始め、あっという間に消え失せた。

周りの風景がガラリと変わり、淡い朝日が差し込む元の景色へと戻った。


「………クライブの言っていた通りだな。………『理の者』の力は、空の魔石で無効化出来る…………こんな欠片で防げるとはな……」

そう言って、男は赤い小石を無造作に投げ捨てた。赤い蒸気が漂っている。


「………さっきから何なんだ………理だとか……力だとか……」

………さっきから何度か連呼されている言葉の数々。男の話に全くついて行けない。

「………あ?………お前………自分がどれ程特別な人間なのか……知らないのか」

男の二本の剣先がダリルの背中を撫でた。

「……この世の中には…生き物にも種類がある。………まず、俺達人間。………動物では魔獣、野獣、聖獣諸々。んで……独特な生き物なのが……魔の者。………そして……」

男は不敵な笑みを浮かべた。…剣先が僅かに皮膚に食い込んだ。




「………そして……『理の者』………お前だ」
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