亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
ポツリと放たれた言葉に、二人は無言で振り返った。
「―――殺して…………殺してよ…………………ねぇ…………僕を殺してよ…」
お願い。
殺して。
もう良いんだ。
もう、いても仕方無いんだ。
僕が関わると、不幸になるだけ。
皆…苦しめてしまうから。
こんな自分が
醜くて
汚くて
大嫌いだから。
だから、殺して。
殺してよ。
殺してよ!
「…………あんた達は、邪魔者なら殺していくんだろ?……………僕は………あんた達の仲間を何人も殺してきた。………敵だよ。………敵なんだよ……………殺してよ!」
ダリルは地面を何度も、ヒステリック気味に激しく叩いた。
…小さな手の平が赤くなっていく。
尖った硝子の破片で、うっすらとした細かい切り傷が刻まれていく。
「殺せ!!どうした!………殺せよ!殺してよ!…殺してよ!……殺せえぇぇ!!」