亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
俯いていたダリルの後頭部に、鈍い衝撃が走った。
顔をしかめたバレンが、鞘の柄で突いたのだ。
「………バレン隊長……手荒な事は…」
「………手荒?……殺せとか言ってやがる奴に、手荒も何も無いだろうが。………俺達は命令以外の事はしねぇ。……………お子様の我が儘に付き合っている暇は無いんだよ………トウェイン」
「…はっ」
「………後はお前ら第6部隊に委ねる。俺は帰るぜ。………大事な用があるからな…」
トウェインが何か言いかける前に、バレンの姿はあっという間に消えた。
………廃墟の真ん中で、二人だけが残された。
「………大丈夫か?」
敵を前にして、この少女は妙な事を言ってきた。ダリルは痛む身体を起こそうとするが、先程の男の蹴りが響いたのだろう。ガタガタと震えて思う様に力が入らない。
結局、両手両膝をついた状態から動けなかった。
「……………殺せよ……殺せって………………」
「………お前がいなくなったところで、何も変わらんぞ。………悔いても、もう遅い……自分をいくら責めても…」
「―――殺せって…!!……………僕は……僕が憎い!!何処に行っても疫病神………こんなの………もう嫌なんだ!嫌だ!」
顔をしかめたバレンが、鞘の柄で突いたのだ。
「………バレン隊長……手荒な事は…」
「………手荒?……殺せとか言ってやがる奴に、手荒も何も無いだろうが。………俺達は命令以外の事はしねぇ。……………お子様の我が儘に付き合っている暇は無いんだよ………トウェイン」
「…はっ」
「………後はお前ら第6部隊に委ねる。俺は帰るぜ。………大事な用があるからな…」
トウェインが何か言いかける前に、バレンの姿はあっという間に消えた。
………廃墟の真ん中で、二人だけが残された。
「………大丈夫か?」
敵を前にして、この少女は妙な事を言ってきた。ダリルは痛む身体を起こそうとするが、先程の男の蹴りが響いたのだろう。ガタガタと震えて思う様に力が入らない。
結局、両手両膝をついた状態から動けなかった。
「……………殺せよ……殺せって………………」
「………お前がいなくなったところで、何も変わらんぞ。………悔いても、もう遅い……自分をいくら責めても…」
「―――殺せって…!!……………僕は……僕が憎い!!何処に行っても疫病神………こんなの………もう嫌なんだ!嫌だ!」