亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
………ああ、早く消えてしまいたい。


こんな化け物………いない方がいい。

皆そう言っている。


死んでほしいって。









「………あんた達は良いさ…生きる必要がある……………目的がある………でも僕には無い。………僕は昔からそうだった。周りは皆、いなくなれって…見たくもないって……母さんもそうだ…。…………………だから………消えた方が良いんだ!」

ダリルは顔を上げた。無表情で見下ろすスカイブルーの瞳に、まだ僕は映っているのだろうか。



「…………僕は死に損ねたんだ………今殺してよ!………殺して!殺せ!…殺せ!殺せ!……殺してよ!」

































「―――所詮は………ガキか!」

























二メートル近くある巨大な剣が何処からともなく現れ、一瞬でダリルの鼻先に突き付けられた。

相当な重さであろう剣を、少女は軽々と片手で握っている。





「―――喚くな!!………殺せだと?自分が嫌いだから?周りが死ねと言うから?だから殺せだと?………ふざけるな!………お前は…死に損ねたのではない…………死ねないだけだ!」

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