亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
―――ズキッ……。
目隠しで真っ暗な視界に、火花に似た白い点の様な光が散った。
トウェインは静かに俯いた。
……………頭が痛い。
フラッシュバックの如く、記憶の断片が奥底から浮かび上がる。
「……もうそんなに日が無いな。………それが本当なら、近々あちらさんから宣戦布告がある筈だな」
「……話が飛躍し過ぎている。………まだ分からない事だらけなのに……。…………そもそもお前は何故裏切ったんだ?」
釈然としないリストは、再度トウェイン自身の事について問うべく向き直った。
……しかし、トウェインは俯いたまま応えない。
リストは眉をひそめた。
「…………おい…聞いて…」
「――リスト」
突如、キーツの鋭い声が遮った。キーツはアレクセイに視線を向ける。
「………アレクセイ、休ませてやれ。………様子を見てから……また始める…」
そう言われたアレクセイは、後ろからそっとトウェインの様子を窺った。
………顔色が悪い。よく見ると身体が震えている。酷く具合が悪そうだ。
(………これはまた……気付きませんでしたな…)
「………畏まりました。……立てますか?」
コクリと小さく頷いたが、身体に力が入らない様だ。