亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


―――ズキッ……。


目隠しで真っ暗な視界に、火花に似た白い点の様な光が散った。

トウェインは静かに俯いた。


……………頭が痛い。


フラッシュバックの如く、記憶の断片が奥底から浮かび上がる。




「……もうそんなに日が無いな。………それが本当なら、近々あちらさんから宣戦布告がある筈だな」

「……話が飛躍し過ぎている。………まだ分からない事だらけなのに……。…………そもそもお前は何故裏切ったんだ?」

釈然としないリストは、再度トウェイン自身の事について問うべく向き直った。


……しかし、トウェインは俯いたまま応えない。


リストは眉をひそめた。

「…………おい…聞いて…」

「――リスト」

突如、キーツの鋭い声が遮った。キーツはアレクセイに視線を向ける。

「………アレクセイ、休ませてやれ。………様子を見てから……また始める…」

そう言われたアレクセイは、後ろからそっとトウェインの様子を窺った。

………顔色が悪い。よく見ると身体が震えている。酷く具合が悪そうだ。

(………これはまた……気付きませんでしたな…)

「………畏まりました。……立てますか?」

コクリと小さく頷いたが、身体に力が入らない様だ。
< 740 / 1,150 >

この作品をシェア

pagetop