亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
とにかくクライブの後ろに付いてまわっていないと不安で仕方無かった。

幼いトウェインにはほとんど無関心で、無言で歩いて行くクライブ。

その隣りに頑張って追い付き、ぶらりと垂れ下がった大きな手を握る。
けれども彼に反応は無い。
良くは思っていないかもしれないが、嫌そうでもない。

まるで一緒に歩く親子の様な光景が毎日見られた。




トウェインはその時、彼の腰に添えられた剣を見たことがある。

国家騎士団の紋章が刻まれた長剣。
そして…………薄汚れた古い短剣。

錆だらけの鞘には、小さな焼印の文字が記されていたのだ。

こびりついた錆に覆われてよく見えなかったが………最初の方だけは………。












「……………『ユリアクロウ』…………そうあった。………多分、名前だったと思うのだが…」







―――『ユリアクロウ』






その名前は、妙にアレクセイの脳裏に引っ掛かってきた。

……はて。………聞き覚えのある様な…………………何だったか……。



あらゆる面から記憶を辿っても、『ユリアクロウ』には繋がらない。

………しかし、ぼんやりとした奇妙な存在感が、その名を覆っているのだ。



………調べてみる価値はありそうだ。
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